定期同額給与 [11/08/01]

平成18年度の税制改正で役員給与の取扱いは大きく変化しました。

改正前は、役員報酬と役員賞与を明確に区別して、「定時にかつ定額で」支払う役員報酬は損金算入、「臨時に」支払う役員賞与は損金不算入としていました。支給形態から損金算入するかどうかを決めていたのです。しかし改正後は、役員報酬と役員賞与の区別はなくなり、「あらかじめ支給金額が確定しているもの」については損金算入、「確定していないもの」については損金不算入とする取扱いになりました。そこで出てきたのが「定期同額給与」と「事前確定届出給与」なのです。

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「定期同額給与」とは、「その支給時期が1月以下の一定の期間ごとである給与(以下「定期給与」という)で当該事業年度の各支給時期における支給額が同額であるものその他これに準ずるものとして政令で定める給与」と規定されています。たとえば3月決算の会社であれば、4月から3月までに毎月支払う役員給与が同額である場合はこの「定期同額給与」に該当します。また、「政令で定める給与」としては、「定期給与で、次の1から3に掲げる改定(以下「給与改定」という)がされた場合における当該事業年度開始の日または給与改定前の最後の支給時期の翌日から給与改定後の最初の支給時期の前日または当該事業年度終了の日までの間の各支給時期における支給額が同額であるもの」をいいます。

1.「当該事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3月(保険会社は4月)を経過する日まで(定期給与の額の改定(継続して毎年所定の時期にされるものに限る)が3月経過日後にされることについて特別の事情があると認められる場合は、当該改定の時期)にされた定期給与の額の改定

2.当該事業年度において当該法人の役員の職制上の地位の変更、その役員の職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情(臨時改定事由という)によりされたこれらの役員に係る定期給与の額の改定(1.に掲げる改定を除く)

3.当該事業年度において当該法人の経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由(業績悪化改定事由という)によりされた定期給与の額の減額改定(1.および2.に掲げる改定を除く)簡単に言いますと、事業年度の開始の日から3月以内に開催される定時株主総会での給与改定(1の場合)、事業年度の途中で専務取締役が代表取締役に就任した場合などにおける給与改定(2の場合)、会社の業績が悪化し、役員の給与を減額しないと会社の存続にかかわる場合などにおける給与改定(3の場合)で、その改定前の役員給与の支給額が一定で、かつその改定後の役員給与の支給額も一定であるときは、定期同額給与ですよ、っていうことをいっているわけです。

よくあるケースは1の場合ですが、ここで注意しないといけないのは、定時株主総会での定期同額給与の改定後、最初にやってくる役員給与の支給から改定後での支給を行わないといけない(一定の場合を除きます。)ということです。

たとえば、毎月25日に役員給与を支払う3月決算の会社が、6月20日に定時株主総会で役員の給与改定を行った場合、6月25日の支給から改定後ベースでの支給を行わないといけないということです。(一定の場合を除きます。)役員給与改定時期は慎重に決定してください!

上記規定の実際の適用に関しましては、事前に税務署へご確認ください。