給与所得者の保険料控除申告書 [13/12/09]

こんにちは。税理士の中村文昭です。

今日は、年末調整のときに多くの方が勤務先へ提出される「保険料控除申告書」について解説したいと思います。

生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除の適用を受けようとする場合は、この用紙に記入して証明書類とともに勤務先へ提出します。一定の場合には証明書類が不要の場合もありますので、提出しなければならないかどうかご不明の場合は、当事務所までご連絡ください。
明書類は、生命保険会社などからもうお手元に届いているはずですので、紛失された場合は証明書類を発行してほしい生命保険会社などにご連絡ください。

生命保険料は、「新生命保険料、介護医療保険料、新個人年金保険料(=新グループ)」と「旧生命保険料、旧個人年金保険料(=旧グループ)」があります。新グループの保険料控除・旧グループの保険料控除・新旧両グループがある場合の保険料控除の計算方法がそれぞれ違いますので、証明書類でご確認ください。

地震保険料のほうも「地震保険料」と「旧長期損害保険料」の2つがあって、地震保険料のみの場合・旧長期損害保険料のみの場合・地震保険料と旧長期損害保険料の両方がある場合で、控除額の計算方法がそれぞれ違います。

社会保険料控除については、給料や賞与から天引きされている健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料のほかに、ご自身が直接納付した国民健康保険料や国民年金保険料なども控除の対象になります。ただし、国民年金保険料・国民年金基金の掛金については、証明書類の提出が必要です。

保険料控除については適用を受けられる方が多いと思いますので、ご不明な点がありましたら、当事務所までお問い合わせくださいね。

※実際の事例について税法上の判断をする場合は、判断をする前に当事務所又は税務署等へご確認ください。

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 [13/12/08]

こんにちは。Scan251208.JPG税理士の中村文昭です。12月になって一週間が過ぎました。もう今年もあと少しですね。
ちょうど今頃、皆様の会社でも「年末調整」の作業が行われているのではないでしょうか。今日は、サラリーマンの方が会社に提出する年末調整に関する書類のなかで、「扶養控除等(異動)申告書」について解説したいと思います。

毎年最初に給与の支払を受ける日の前日まで(多いのは年末調整を行う頃)に、控除を受けようとする配偶者や扶養親族のことについて記載をした「扶養控除等(異動)申告書」を勤務先に提出することになっています。また、提出した後に申告内容の異動を生じた場合(たとえば、控除対象扶養親族の数の増減があった場合)には、その都度異動申告を勤務先にすることになっています。
この「扶養控除等(異動)申告書」は、1か所の勤務先にしか提出することができません。2か所以上から給与の支払を受けている人については、この「扶養控除等(異動)申告書」を提出できない勤務先から受けている給与については、年末調整ができないことになります。

「扶養控除等(異動)申告書」を提出すると、毎月の給与や賞与から源泉徴収される税額(源泉徴収税額は、源泉徴収税額表の甲欄の金額によって計算することになりますが、「扶養控除等(異動)申告書」を提出しない(提出できない)勤務先から受ける給与や賞与については、源泉徴収税額表の乙欄の金額によって計算しなければなりません。乙欄の源泉徴収税額は、甲欄の源泉徴収税額に比べて金額が大きい場合が多いですので、1か所からしか給与をもらっていない方は、その勤務先には「扶養控除等(異動)申告書」を提出するようにしてくださいね。

※実際の事例について税法上の判断をする場合は、判断をする前に当事務所又は税務署等へご確認ください。


生命保険料控除の見直し [11/08/31]

こんにちは。税理士の中村です。早いもので、明日から9月。今年も残すところあと4か月になりました・・・というのは、ちょっと気が早いでしょうか。

平成22年度の税制改正において、生命保険料控除について改正が行われています。

今までは、「一般生命保険料控除」と「個人年金保険料控除」(それぞれの控除限度額はいずれも5万円)でしたが、平成24年1月1日以後に締結した保険契約等(新契約)に係る控除については、上記2つの区分に加えて、新たに「介護医療保険料控除」(控除限度額は4万円)という区分が設けられました。また、「一般生命保険料控除」「個人年金保険料控除」について、それぞれの控除限度額が4万円となります。また、平成23年12月31日以前に締結した保険契約等(旧契約)に係る控除については、従来通り「一般生命保険料控除」と「個人年金保険料控除」(それぞれの控除限度額はいずれも5万円)が適用されることとなります。

また、新契約と旧契約の両方について生命保険料控除の適用を受ける場合の控除額は、新契約の支払保険料等について新契約に係る控除額の計bus0014-001.jpg算をした金額と、旧契約の支払保険料等について旧契約に係る控除額の計算をした金額との合計額(控除限度額は4万円)となります。

今年中の契約であれば、従来通りの生命保険料控除を受けることができます。生命保険契約の新規契約などをするときは、今年中にするか、来年以降にするかで、生命保険料控除額が変わってくることに注意する必要があります。

詳しくは当事務所までお気軽にお問い合わせください。


平成23年度税制改正について [11/08/23]

このたびの東日本大震災により被害に遭われた皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

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平成23年度の税制改正法案は、給与所得控除の見直し・中小法人に対する軽減税率の引き下げ(18%→15%)・相続税の基礎控除の引き下げなどを盛り込んで、平成23年1月25日に国会へ提出されました。

しかし、参議院で野党が過半数の議席を確保するという、いわゆる「ねじれ国会」になっており、さらに3月11日の東日本大震災の影響により、審議が大幅に遅れました。

その後、平成23年度の税制改正法案から、雇用促進税制などの拡充や期限切れとなる租税特別措置の延長などを盛り込んだ「現下の厳しい経済状況及び雇用情勢に対応して税制の整備を図るための所得税法等の一部を改正する法律案」を抜き出して、新たな法案として平成23年6月22日に可決・成立、平成23年6月30日に公布・施行(一部別段の定めがあるものを除きます。)されました。

この税制改正の内容は、一定の所得以下の年金所得者の申告不要制度の創設・雇用促進税制の創設・棚卸資産の切放し低価法の廃止・消費税における事業者免税点制度の判定時期や課税売上割合が95%以上の場合の仕入税額控除制度の見直し、などとなっています。

なお、給与所得控除の見直し・中小法人に対する軽減税率の引き下げ(18%→15%)・相続税の基礎控除の引き下げなどを盛り込んだ当初の税制改正法案の残りの部分については、「経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律案」と修正されましたが、成立していません。


事前確定届出給与 [11/08/02]

「事前確定届出給与」とは、「その役員の職務につき、所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与であって、定期同額給与および利益連動給与を除くもの」です。

さらに「株主総会、社員総会等の決議日(同日がその職務の執行を開始する日後である場合には、その開始する日)から1月を経過する日(同日がその事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から4月を経過する日後である場合には、4月経過日)までに、所定の事項を記載した届出書を提出しなければならない」こととされています。これらをすべて満たした場合は損金算入ができます。

簡単に言いますと、役員の給与を損金に算入しようと思えば、あらかじめ支給額と支給時期を決めて、株主総会等の承認を得て、それらの内容を記載した届出書を株主総会等の決議日(またはその役員が職務を開始する日)から1月以内に税務署に提出しなければならない、ということです。

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この制度の難しいところは、会社の経営状態がどうなるか(利益が出るか損失が出るか)わからないのに、事前に支給額と支給時期を決定しておかなくてはならない、ということです。判断は非常に難しいと思います。もし、税務署に届け出た額と違う額を支給した場合は、その支給した額全額が損金不算入になりますので注意が必要です。たとえば、届出書には100万円と記載したが実際の支給額は120万円だった場合、120万円が損金不算入になります。

また、届出書には100万円と記載したが実際の支給額は70万円だった場合、70万円が損金不算入になります。届出額より多くても少なくても支給した全額が損金不算入です。

それともうひとつやっかいなのは、届出書の記入です。かなり記入する項目がありますので煩雑な作業になります。私の考え方ですが、「事前に支給額が定まっているのなら、その額を12等分して毎月の給与に上乗せすればいい、定期同額給与にしてしまえば届出書をかかなくてもいいし」と考えています。一度ご検討されてみてはいかがでしょうか?ご不明な点はお気軽にお問い合わせください。

上記規定の実際の適用に関しましては、事前に税務署へご確認ください。


定期同額給与 [11/08/01]

平成18年度の税制改正で役員給与の取扱いは大きく変化しました。

改正前は、役員報酬と役員賞与を明確に区別して、「定時にかつ定額で」支払う役員報酬は損金算入、「臨時に」支払う役員賞与は損金不算入としていました。支給形態から損金算入するかどうかを決めていたのです。しかし改正後は、役員報酬と役員賞与の区別はなくなり、「あらかじめ支給金額が確定しているもの」については損金算入、「確定していないもの」については損金不算入とする取扱いになりました。そこで出てきたのが「定期同額給与」と「事前確定届出給与」なのです。

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「定期同額給与」とは、「その支給時期が1月以下の一定の期間ごとである給与(以下「定期給与」という)で当該事業年度の各支給時期における支給額が同額であるものその他これに準ずるものとして政令で定める給与」と規定されています。たとえば3月決算の会社であれば、4月から3月までに毎月支払う役員給与が同額である場合はこの「定期同額給与」に該当します。また、「政令で定める給与」としては、「定期給与で、次の1から3に掲げる改定(以下「給与改定」という)がされた場合における当該事業年度開始の日または給与改定前の最後の支給時期の翌日から給与改定後の最初の支給時期の前日または当該事業年度終了の日までの間の各支給時期における支給額が同額であるもの」をいいます。

1.「当該事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3月(保険会社は4月)を経過する日まで(定期給与の額の改定(継続して毎年所定の時期にされるものに限る)が3月経過日後にされることについて特別の事情があると認められる場合は、当該改定の時期)にされた定期給与の額の改定

2.当該事業年度において当該法人の役員の職制上の地位の変更、その役員の職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情(臨時改定事由という)によりされたこれらの役員に係る定期給与の額の改定(1.に掲げる改定を除く)

3.当該事業年度において当該法人の経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由(業績悪化改定事由という)によりされた定期給与の額の減額改定(1.および2.に掲げる改定を除く)簡単に言いますと、事業年度の開始の日から3月以内に開催される定時株主総会での給与改定(1の場合)、事業年度の途中で専務取締役が代表取締役に就任した場合などにおける給与改定(2の場合)、会社の業績が悪化し、役員の給与を減額しないと会社の存続にかかわる場合などにおける給与改定(3の場合)で、その改定前の役員給与の支給額が一定で、かつその改定後の役員給与の支給額も一定であるときは、定期同額給与ですよ、っていうことをいっているわけです。

よくあるケースは1の場合ですが、ここで注意しないといけないのは、定時株主総会での定期同額給与の改定後、最初にやってくる役員給与の支給から改定後での支給を行わないといけない(一定の場合を除きます。)ということです。

たとえば、毎月25日に役員給与を支払う3月決算の会社が、6月20日に定時株主総会で役員の給与改定を行った場合、6月25日の支給から改定後ベースでの支給を行わないといけないということです。(一定の場合を除きます。)役員給与改定時期は慎重に決定してください!

上記規定の実際の適用に関しましては、事前に税務署へご確認ください。