事前確定届出給与 [11/08/02]

「事前確定届出給与」とは、「その役員の職務につき、所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与であって、定期同額給与および利益連動給与を除くもの」です。

さらに「株主総会、社員総会等の決議日(同日がその職務の執行を開始する日後である場合には、その開始する日)から1月を経過する日(同日がその事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から4月を経過する日後である場合には、4月経過日)までに、所定の事項を記載した届出書を提出しなければならない」こととされています。これらをすべて満たした場合は損金算入ができます。

簡単に言いますと、役員の給与を損金に算入しようと思えば、あらかじめ支給額と支給時期を決めて、株主総会等の承認を得て、それらの内容を記載した届出書を株主総会等の決議日(またはその役員が職務を開始する日)から1月以内に税務署に提出しなければならない、ということです。

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この制度の難しいところは、会社の経営状態がどうなるか(利益が出るか損失が出るか)わからないのに、事前に支給額と支給時期を決定しておかなくてはならない、ということです。判断は非常に難しいと思います。もし、税務署に届け出た額と違う額を支給した場合は、その支給した額全額が損金不算入になりますので注意が必要です。たとえば、届出書には100万円と記載したが実際の支給額は120万円だった場合、120万円が損金不算入になります。

また、届出書には100万円と記載したが実際の支給額は70万円だった場合、70万円が損金不算入になります。届出額より多くても少なくても支給した全額が損金不算入です。

それともうひとつやっかいなのは、届出書の記入です。かなり記入する項目がありますので煩雑な作業になります。私の考え方ですが、「事前に支給額が定まっているのなら、その額を12等分して毎月の給与に上乗せすればいい、定期同額給与にしてしまえば届出書をかかなくてもいいし」と考えています。一度ご検討されてみてはいかがでしょうか?ご不明な点はお気軽にお問い合わせください。

上記規定の実際の適用に関しましては、事前に税務署へご確認ください。